心不全の診断を受けると、「動いてはいけない」と思いがちです。
しかし、現在の医療では「適切な運動」が再発や悪化を防ぐために不可欠とされています。
本コラムでは、理学療法士の視点から、安全かつ効果的に運動を進めるためのステップを解説します。
心不全とは
心不全とは、さまざまな要因で心臓に負担がかかった結果、身体や肺に血液をうまく循環させることができなくなってしまう状態です。

左心不全の場合、左心機能が低下すると身体に送る血液量が減ることで、左心房や左肺静脈(肺から心臓へ戻る血管)に血液が渋滞してしまいます。

右心不全の場合、右心機能が低下すると肺に送る血液量が減ることで、右心房や大静脈(全身から心臓に戻る血管)に血液が渋滞してしまします。
左心不全の症状

左心不全の症状は、肺に血液がたまる「肺うっ血」による呼吸困難や、全身への血流が減ることで起こる動悸、強い疲労感、冷や汗などが生じやすくなります。
右心不全の症状

右心不全の症状は、心臓に戻る血液が渋滞することで、足のむくみ、急な体重増加、お腹の張り、食欲低下、首の静脈の膨らみ(頸静脈怒張)などが生じやすくなります。
どんな運動をすれば良いの?

心不全患者にとって適切な有酸素運動は、運動時の心拍出量反応は増加し、左室拡張機能は改善すると報告されている。
おすすめの運動:ウォーキング、自転車こぎ(エルゴメーター)、水中ウォーキングなど、全身をリズミカルに動かす運動が適しています。
強度(きつさ):「楽である」〜「ややきつい」と感じる程度。笑顔で会話やおしゃべりが続けられるペースが目安です。
時間:まずは1回5分〜10分から始め、慣れてきたら1回20〜30分を目指します。
頻度:週に3回以上が目標です。運動の間隔が2日以上空かないようにこまめに行うと効果的です。
ただし、自己判断での運動は心臓に大きな負担をかけ、不整脈や症状悪化を招く危険があるため、必ず主治医の許可と運動処方(適切な負荷量の決定)を受けることが必須です。
まとめ
心不全の病状や心臓の機能は、患者さん一人ひとりによって全く異なります。
自己判断で急に激しい運動を始めるのは危険です。
まずは主治医に「どのくらいの運動なら可能か」を確認しましょう。
正しい運動習慣を身につけ、心臓に優しい健康的な毎日を取り戻しましょう。
2018年に健康科学大学を卒業し、理学療法士免許を取得。資格取得後は回復期リハビリ、障害者リハビリ、訪問リハビリにて様々な分野のリハビリテーションに携わる。2023年1月に3学会合同呼吸認定療法士取得。2023年11月MDSJパーキンソン病療法指導士取得。




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